PORTABLE ALL-MODE RADIO
IC-705レビュー:移動運用でも固定運用でも使える万能機
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HF / 50 / 144 / 430MHz ALL MODE
机の上から山の上まで、同じ無線機で。
約1.1kgのボディにHFから430MHz、SSB・CW・RTTY・AM・FM・D-STAR、スペクトラムスコープ、GPS、Wi‑Fiを凝縮。外へ持ち出せるのに、固定局の操作感で使える一台です。

IC-705は、HF+50MHz+144MHz+430MHzに対応するオールモードトランシーバーです。付属バッテリーBP-272なら最大5W、13.8Vの外部電源では最大10W。固定機に近いスペクトラムスコープとタッチ操作を、幅200mm・約1.1kgの筐体に収めています。
この無線機の本当の魅力は「小さいこと」だけではありません。移動先ではバッテリー駆動のQRP機として使い、自宅では安定化電源、常設アンテナ、PCを接続して固定機として使えることです。一台を中心に周辺機器を付け替えれば、運用場所とバンドを大きく広げられます。
IC-705と純正チューナーAH-705
販売元、国内向け技適表示、付属品、保証内容を確認してください。
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移動運用で使うIC-705
付属バッテリー使用時は最大5Wで、公式の運用時間目安は約3時間です。軽装で短時間運用するなら内蔵バッテリー、長時間のコンテストやFT8なら大容量外部電源、というように分けると現実的です。
GPSを内蔵しているため、移動地点の確認やログに利用できます。スペクトラムスコープは、初めての場所でバンドの混み具合や信号の有無を目で探せるのが便利です。144/430MHzのFM・D-STARからHFのSSB/CW/FT8まで一台で切り替えられるので、「今日はコンディションが悪いから別のバンドへ」と判断しやすくなります。
HFアンテナ、同軸、ポール、チューナー、外部電源まで加えると数kgになります。徒歩移動では使うバンドを絞り、必要な物だけを持ち出すのがポイントです。
固定運用で使うIC-705
外部電源では最大10Wになり、バッテリー残量を気にせず運用できます。10Wは100W固定機ほどの余裕はありませんが、良好なアンテナとコンディションがそろえば国内外との交信を十分狙えます。受信だけを長時間流す用途にも向いています。
USB経由でPCと接続でき、FT8向けのプリセットも本体に用意されています。Wi‑Fiと別売ソフトを使ったリモート運用、Bluetooth機器、外部ディスプレイなどへ発展できる点も固定運用向きです。机が狭くても置きやすく、必要なときだけ移動運用へ持ち出せます。

純正オートアンテナチューナーAH-705
AH-705はIC-705専用のHF/50MHzオートアンテナチューナーです。50Ω系アンテナ用のM型コネクターに加え、付属のネジ端子付きM型コネクターでロングワイヤーにも対応します。IC-705から制御でき、平均2~3秒で整合。45チャンネルのメモリーを備え、一度合わせた周波数へ素早く復帰できます。

AH-705を移動運用で使う理由
対応範囲は1.8~54MHz、最大入力10W。推奨ワイヤー長は1.9MHz帯で30m以上、3.5MHz帯以上で7m以上です。IP54の防塵防沫に対応し、本体から離してアンテナの給電点近くへ設置できます。ロングワイヤーの根元で整合を取れるため、設営場所に合わせた柔軟なアンテナを作りやすくなります。
単3形アルカリ乾電池2本で動くので、無線機とは別に大きな電源を用意しなくても使えます。純正の制御ケーブルと同軸ケーブルを接続すれば、本体のTUNER操作と連動するプラグ&プレイ構成です。
SWRを無線機が扱いやすい範囲へ整合させる装置です。短すぎるワイヤーや悪い設置条件では整合できても効率が低く、飛びが改善しない場合があります。ワイヤー長、設置高、カウンターポイズを先に整えることが重要です。


AH-705の注意点
- 144/430MHzには使えない:対応はHF~50MHzです。VHF/UHF運用時はAH-705を外して対応アンテナへつなぎ替えます。
- 450g増える:IC-705本体の約1.1kgに対して、AH-705本体だけで450g。ケーブルと乾電池も加わります。
- 別体式:アンテナ直近へ置ける反面、接続と撤収にはケーブルが増えます。
- 整合範囲には限界がある:環境やアンテナ長によってチューニングできない場合があります。
IC-705のメリット・デメリット
メリット
- HFから430MHzまで一台で対応
- SSB/CW/RTTY/AM/FM/D-STARのオールモード
- バッテリー込み約1.1kg
- 見やすいタッチ画面とリアルタイムスコープ
- GPS、Wi‑Fi、Bluetooth、microSDを標準搭載
- 移動と固定で機材を共用できる
デメリット
- バッテリー時5W、外部電源でも10W
- 付属電池の運用目安は約3時間
- 本体にHFアンテナチューナーを内蔵しない
- 防水・防塵規格の表記がない
- 1系統のBNC端子をバンドごとにつなぎ替える
- 本格的な移動セットは周辺機器で重くなる
八重洲無線FTX-1 Fieldと比較
FTX-1 FieldはIC-705より新しいHF/VHF/UHFオールモード機です。どちらも外部電源で最大10Wですが、電池、デジタル方式、チューナー構成、将来の出力拡張に大きな違いがあります。
| 項目 | IC-705 | FTX-1 Field |
|---|---|---|
| 対応バンド | HF~50/144/430MHz | HF~50/144/430MHz |
| モード | SSB/CW/RTTY/AM/FM/DV | SSB/CW/AM/FM/C4FM、データ |
| デジタル音声 | D-STAR | C4FM・WIRES-X |
| バッテリー出力 | 最大5W | 最大6W(QRPモード5W) |
| 外部電源出力 | 最大10W | 最大10W |
| 電池運用目安 | 約3時間 | 約9時間(HF SSB・6W) |
| 寸法 | 200×83.5×82mm | 213×89×55mm(バッテリー・突起物除く) |
| 重量 | 約1.1kg(BP-272含む) | 約1.25kg(バッテリー含まず) |
| GPS/Bluetooth | 標準搭載 | オプションユニット |
| Wi‑Fi | 標準搭載 | — |
| 充電 | DC入力・専用充電器系 | USB PD対応Type-Cまたは外部DC |
| 小型チューナー | 別体AH-705:ロングワイヤー/50Ω系、アンテナ直近に設置可 | 背面装着FC-80:50Ω系。別体FC-90はロングワイヤー/50Ω系 |
| 高出力拡張 | 純正一体型の出力拡張なし | SPA-1Mで50W構成へ拡張可能 |
IC-705が向く人
荷物を軽くしたい、D-STARを使いたい、GPS・Wi‑Fi・Bluetoothを追加部品なしで使いたい人。AH-705を給電点付近へ置くロングワイヤー運用や、すでにアイコムの周辺機器を使っている人にも自然です。
FTX-1 Fieldが向く人
長時間バッテリー、USB Type-C充電、C4FM・WIRES-Xを重視する人。背面に電池とFC-80をまとめたい人や、後から50Wパワーアンプを加えて移動・モービル運用へ発展させたい人に向きます。
FTX-1 Fieldは本体だけでもIC-705より重く、GPSとBluetoothもオプションです。一方で電池容量と拡張性は明確に優れます。持ち歩く総重量を優先するならIC-705、長時間運用とシステム拡張を優先するならFTX-1 Field、という選び方が分かりやすいでしょう。
無線機が対応していても、保有資格の操作範囲と無線局免許の内容を超えて送信することはできません。アンテナ調整時も他局への混信に注意してください。
移動と固定を一台で始める
IC-705本体とAH-705は別売です。必要なアンテナ、同軸、電源も含めて構成を考えましょう。
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まとめ
IC-705は、軽量なQRP機でありながら固定機に近い操作性を持つのが最大の魅力です。移動先ではBP-272と小型アンテナで手軽に、自宅では13.8V電源と常設アンテナ、PCをつないで本格的に使えます。
AH-705を加えればHFのアンテナ選択が広がりますが、重量と配線は増えます。FTX-1 Fieldはその弱点に対して、大容量電池、Type-C充電、背面一体型チューナー、50W拡張という別の答えを用意しています。どちらが上かではなく、持ち歩く軽さを取るか、長時間運用と拡張性を取るかで選びたい2台です。