FAMILY OUTDOOR FIELD NOTE
こどもの登山のススメ
NOT AGAINST OTHERS, BUT AGAINST YOURSELF
頂上まで歩いた事実は、子どもの中に残る。
周りより速くなくてもいい。登山は誰かとの競争ではなく、一歩前の自分を越えていく時間です。4歳4か月で挑戦した高尾山が、息子にとって小さな自信の始まりになりました。
息子は3月下旬生まれです。幼稚園では同じ学年でも月齢差が大きく、本人も周りの友達と比べて、運動面に差があることを自覚していました。やがて「自分は何をやってもできない」と、否定的な言葉を口にするようになりました。
親として「気にしなくていい」と言葉で励ますだけではなく、本人が自分の力で最後までやり切り、目に見える形で達成感を得られる経験を作りたい。そこで選んだのが登山でした。
最初の山は高尾山。4歳4か月の挑戦
最初に選んだのは高尾山です。都心から行きやすく、登山道の選択肢があり、ケーブルカーなども使えるため、子どもの体調に合わせて計画を変えやすい山です。とはいえ、写真のような沢沿いや岩のある道は舗装路の散歩とは違います。滑りやすい場所では急がせず、足を置く場所を一緒に確認しました。

目標は速く登ることではなく、自分の足で頂上へたどり着くこと。山頂では一緒にご飯を食べ、下山したら温泉へ行きました。頑張った先に楽しい時間があることも含めて、家族の一日にしました。
登山後、息子の性格が突然別人のように変わったわけではありません。それでも「高尾山に登れた」という経験は残り、自分にもできることがあると、少しだけ自信を持てるようになりました。
次は、日の出山からつるつる温泉へ
御岳山方面から日の出山へ
日の出町観光協会が紹介するコースは、御岳山から標高902mの日の出山を経て、つるつる温泉へ下る約9km・歩行約4時間10分のルートです。
歩き終わったら温泉
山頂だけで終わらず、下山後の温泉までを一つの楽しみにしました。息子とはこのルートを何度か歩き、長く歩くことへの抵抗を少しずつ減らしていきました。
同じ場所を繰り返す良さもあります。以前つらかった坂を普通に歩けた、休憩の回数が減った、自分から次の目標を決めた。過去の自分との比較なら、子ども自身も成長を実感できます。
「最悪おんぶできる」は、出発条件ではなく最後の備え
幼稚園児なら、体調を崩したときに大人がおんぶして下山できる体格です。私たちもそれを最後の備えとして考えていました。しかし、山道で子どもを背負えば大人の転倒リスクが増え、距離や天候によっては安全に下りられません。
抱えて下りられるから進むのではなく、余力のあるうちに引き返すことが基本です。子どもの年齢だけで可否を決めず、普段歩ける距離、当日の体調、路面、気温、日没までの時間を見て判断します。山頂へ届かなくても「今日はここまで自分で歩いた」を成功体験にできます。

小学生になってからは、毎年約20kmの尾瀬ヶ原へ
小学校低学年からは、鳩待峠を出発し、山ノ鼻、竜宮を経て見晴地区のキャンプ場へ向かう尾瀬ヶ原歩きを毎年の行事にしています。往復では約20km。平らな木道が中心でも、子どもにとっては長い距離です。
尾瀬保護財団の案内では、鳩待峠から山ノ鼻までの序盤に石畳の急な下りや階段があります。木道は濡れると滑りやすく、登山道では携帯電話がほとんど使えない場所もあります。見晴地区の山小屋やキャンプ場は、営業状況と予約方法を出発前に確認します。
高尾山で得た「登れた」が、日の出山の「また歩けた」になり、やがて尾瀬の長い木道を自分で進む力になりました。ほかの友達と違う経験をさせたいという親の思いもありましたが、大切なのは自慢することではありません。本人の中に「自分は20km歩いたことがある」という揺らぎにくい物差しを持たせることでした。
子どもとの登山で準備していること
- 前日は十分に眠り、朝の食欲や体調を確認する。
- 子どもの普段の歩行量からコースを選ぶ。
- 履き慣れた靴、帽子、雨具、防寒着を持つ。
- 水分と行動食を大人が余分に持つ。
- 早く出発し、日没から逆算して引き返す。
- 濡れた木道、沢、石、木の根では走らせない。
- 途中で戻る判断も含めて子どもを褒める。
- 交通・登山道・施設の最新情報を確認する。
AMAZON AFFILIATE
子ども用の登山靴・レインウェアを探す
成長期の靴は、サイズだけでなく実際に履いたときのかかとの浮きや指先の余裕を確認します。通販では返品・交換条件も先に確認してください。
Amazonで登山用品を見るまとめ:できた経験は、次の一歩の土台になる
3月下旬生まれで、幼稚園の友達との運動面の差を気にしていた息子にとって、高尾山は単なる休日の外出ではありませんでした。誰かより速くなくても、自分の足で頂上へ行ける。その経験が、少しずつ自信につながりました。
登山がすべての子どもに合うわけでも、山へ登れば必ず自己肯定感が高まるわけでもありません。それでも、競争から離れ、自分のペースで挑戦できる機会を探している家族には一つの選択肢になります。安全に帰ることを最優先に、親子でしか作れない「できた」を増やしていきたいと思います。