FAMILY OUTDOOR FIELD NOTE

こどもの登山のススメ

公開日 2026.10.12 / 子育て・家族登山 / 読了目安 10分

NOT AGAINST OTHERS, BUT AGAINST YOURSELF

頂上まで歩いた事実は、子どもの中に残る。

周りより速くなくてもいい。登山は誰かとの競争ではなく、一歩前の自分を越えていく時間です。4歳4か月で挑戦した高尾山が、息子にとって小さな自信の始まりになりました。

息子は3月下旬生まれです。幼稚園では同じ学年でも月齢差が大きく、本人も周りの友達と比べて、運動面に差があることを自覚していました。やがて「自分は何をやってもできない」と、否定的な言葉を口にするようになりました。

親として「気にしなくていい」と言葉で励ますだけではなく、本人が自分の力で最後までやり切り、目に見える形で達成感を得られる経験を作りたい。そこで選んだのが登山でした。

4歳4か月最初の大きな挑戦として高尾山へ。歩いた分だけ頂上へ近づく経験をする。
幼稚園時代日の出山からつるつる温泉へ向かうルートを何度か歩く。
小学校低学年〜毎年、鳩待峠から尾瀬ヶ原の見晴地区へ。往復約20kmを歩く。

WHY HIKING?

登山は、誰かとの競争ではない

速いか遅いかではなく、昨日の自分より一歩前へ進めたか。

かけっこや球技では、どうしても周囲との順位が目に入ります。一方、家族で歩く山に順位表はありません。疲れたら休み、また一歩進む。頂上へ着けば、そこまで自分の足で歩いた事実が残ります。

ほかの友達がまだ経験していないことへ挑戦し、「自分にもできた」という記憶を一つ作る。それが最初の目的でした。

最初の山は高尾山。4歳4か月の挑戦

最初に選んだのは高尾山です。都心から行きやすく、登山道の選択肢があり、ケーブルカーなども使えるため、子どもの体調に合わせて計画を変えやすい山です。とはいえ、写真のような沢沿いや岩のある道は舗装路の散歩とは違います。滑りやすい場所では急がせず、足を置く場所を一緒に確認しました。

緑に囲まれた高尾山の沢沿いをリュック姿で歩く幼児
4歳4か月ごろの高尾山。難しい場所では先を急がず、一歩ずつ進みました。

目標は速く登ることではなく、自分の足で頂上へたどり着くこと。山頂では一緒にご飯を食べ、下山したら温泉へ行きました。頑張った先に楽しい時間があることも含めて、家族の一日にしました。

登山後、息子の性格が突然別人のように変わったわけではありません。それでも「高尾山に登れた」という経験は残り、自分にもできることがあると、少しだけ自信を持てるようになりました。

次は、日の出山からつるつる温泉へ

START

御岳山方面から日の出山へ

日の出町観光協会が紹介するコースは、御岳山から標高902mの日の出山を経て、つるつる温泉へ下る約9km・歩行約4時間10分のルートです。

GOAL

歩き終わったら温泉

山頂だけで終わらず、下山後の温泉までを一つの楽しみにしました。息子とはこのルートを何度か歩き、長く歩くことへの抵抗を少しずつ減らしていきました。

同じ場所を繰り返す良さもあります。以前つらかった坂を普通に歩けた、休憩の回数が減った、自分から次の目標を決めた。過去の自分との比較なら、子ども自身も成長を実感できます。

「最悪おんぶできる」は、出発条件ではなく最後の備え

幼稚園児なら、体調を崩したときに大人がおんぶして下山できる体格です。私たちもそれを最後の備えとして考えていました。しかし、山道で子どもを背負えば大人の転倒リスクが増え、距離や天候によっては安全に下りられません。

抱えて下りられるから進むのではなく、余力のあるうちに引き返すことが基本です。子どもの年齢だけで可否を決めず、普段歩ける距離、当日の体調、路面、気温、日没までの時間を見て判断します。山頂へ届かなくても「今日はここまで自分で歩いた」を成功体験にできます。

青空の下、尾瀬ヶ原の木道を一人で歩く子ども
小学校低学年から毎年歩く尾瀬ヶ原。長い木道も、一歩ずつ進めば見晴地区へ着きます。

小学生になってからは、毎年約20kmの尾瀬ヶ原へ

小学校低学年からは、鳩待峠を出発し、山ノ鼻、竜宮を経て見晴地区のキャンプ場へ向かう尾瀬ヶ原歩きを毎年の行事にしています。往復では約20km。平らな木道が中心でも、子どもにとっては長い距離です。

尾瀬保護財団の案内では、鳩待峠から山ノ鼻までの序盤に石畳の急な下りや階段があります。木道は濡れると滑りやすく、登山道では携帯電話がほとんど使えない場所もあります。見晴地区の山小屋やキャンプ場は、営業状況と予約方法を出発前に確認します。

高尾山で得た「登れた」が、日の出山の「また歩けた」になり、やがて尾瀬の長い木道を自分で進む力になりました。ほかの友達と違う経験をさせたいという親の思いもありましたが、大切なのは自慢することではありません。本人の中に「自分は20km歩いたことがある」という揺らぎにくい物差しを持たせることでした。

子どもとの登山で準備していること

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まとめ:できた経験は、次の一歩の土台になる

3月下旬生まれで、幼稚園の友達との運動面の差を気にしていた息子にとって、高尾山は単なる休日の外出ではありませんでした。誰かより速くなくても、自分の足で頂上へ行ける。その経験が、少しずつ自信につながりました。

登山がすべての子どもに合うわけでも、山へ登れば必ず自己肯定感が高まるわけでもありません。それでも、競争から離れ、自分のペースで挑戦できる機会を探している家族には一つの選択肢になります。安全に帰ることを最優先に、親子でしか作れない「できた」を増やしていきたいと思います。

参考にした公式情報

登山道、交通、温泉、キャンプ場の営業情報は変わります。出発前に必ず最新の公式情報と天気予報を確認してください。

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